材料について
左官に使われる材料は、水、土、植物など身近な天然素材を原料として
水や空気との化学反応によって固まる材料のことです。
人と環境に優しい壁材として、現代の暮らしにも活かせる特徴がたくさんあります。
最も代表的な左官材料の「漆喰」や「珪藻土」をはじめ、
日本の伝統的な建物に用いられる「京壁」や「砂壁」
西洋漆喰ともいわれる「プラスター壁」や、壁・床にも使われるセメント系の「モルタル壁」など
それぞれの特徴をご紹介いたします。
城や蔵に使われる、伝統的な塗り壁
漆喰とは、消石灰と糊と苆(すさ)を混ぜ合わせた混合物をさします。
古き時代より、城や蔵の壁の上塗りなどに使用されてきました。
水酸化カルシウム:Ca(OH)2を主成分とした建材です。
漆喰は強アルカリ性のため、有機物を分解する殺菌機能があります。消石灰の作用により、 細菌の増殖を抑え、カビやダニの発生を防止します。
漆喰の消石灰が石灰石になる硬化過程において二酸化炭素を吸収する性質や、有害物質の吸着と調湿機能を持ち、居心地の良い住まい環境を作ります。
多彩な色とデザインをご提供します
漆喰の輝きは、1cmの厚さを約3年かけて、ゆっくりと結晶になっていきます。漆喰に含まれる炭酸カルシウムは、静電気を溜ない安定した物質のため、ほこりなどが付きにくい特徴を持ち、白さを長期的に保てます。
ちょっとした汚れも、消しゴムで消すか、削る、薄く漆喰を塗ることで解決します。クロスのように全てを張り替える必要は有りません。
日本の気候に最適な調湿機能が人気
珪藻土は植物性プランクトンが石化した自然素材です。
珪藻土は一粒一粒にスポンジのように無数の空間があり、調湿機能が非常に優れています。
一般的なクロス(壁紙)と比べると、珪藻土は6畳の部屋でペットボトル1本分(2リットル)の水分を調整することができます。
外気との温度差のある場所で、湿度と温度を管理できる優れものの素材です。
珪藻土で住宅の空気をクリーンに!
珪藻土を使った住宅でタバコの煙、ペットの臭い、生活臭、アレルギー対策に!灯油の燃焼で発生するスス(炭化水素)、家具や建築の接着剤に含まれる有害ガス(ホルムアルデヒド)などを吸着し、消臭分解(無効化)します。
お茶室のような風格のある京壁
上塗りに用いられる土の種類が、そのまま壁の個性になる土壁。
「土壁」は左官仕上げの壁を指す総称として用いられることもあり、一般的には「京壁」とも呼ばれます。日本古来の伝統的な塗り壁で、歴史的建造物やお茶室などに用いられます。
壁に使用される土は、主に、聚楽土、稲荷山黄土、九条土、桃山土、浅葱土、錆土などが有名です。
日本の風土に最適!
天然土そのままを活かした仕上がり、天然土の落ち着いた風格があり、色彩からも日本古来の伝統を目で楽しむことができます。
京壁などの塗り壁には、湿気をコントロールする調湿効果や、臭いなどを吸着する消臭効果があり、さらに変色しにくいという特徴や、防カビ効果、断熱効果・吸音効果などもあります。
なめらかで美しい仕上がり
砂で仕上げた塗り壁で、なめらかな美しさが特徴。
土壁と同じようにお茶室や客間に用いられます。上塗り用の砂には、粒子が均一で異物の混入が少ない、川砂が理想とされています。
モダンな和室に最適
なめらかな印象のある砂壁は、洋室の壁に使われることもあるなど、多様なデザインとマッチします。洋風なテイストも盛り込んだモダンな和室にする場合にも適しています。
漆喰のような白さと高い硬度
鉱物質の粉末と水を練り合わせたプラスター(石灰または石膏)を用いた壁で、多くは厚塗りが可能です。
白く輝くような仕上がりが特徴で、漆喰に似ていることから「西洋の漆喰」とも呼ばれています。
現在は、化成糊や繊維質を混ぜた物が多く日本にも輸入されてきています。
石膏プラスター塗とドロマイトプラスター塗
石膏プラスター塗とドロマイトプラスター塗は、ともに平滑で純白の仕上がり面が得られるという点が共通するが、石膏プラスターは、混入する骨材の粒度や顔料などによって、より変化に富んだ高い質感が得られることが特徴。一方、ドロマイトプラスターはその作業性の良さから、可塑性の高いテクスチュア表現に適している。
無機質な印象のリノベーションに人気
モルタルは細粒の骨材を結合材に混ぜてつくったもので、一般には砂とセメントを水で練ったセメントモルタルを言います。砂は川砂、色砂、軽砂などが使用されます。左官材料として主に壁の仕上げ材として用いられますが、モルタルは壁、さらには床にも使うことができます。
デザインが自由なモルタル造形
モルタルは床材にも使われるように十分な強度があり、水の量を加減すれば硬さを調整して自由な造形を作ることができます。
モルタル造形とエイジング塗料を使うことで本物のようなレンガの壁や石壁を再現することができるため西洋風の庭造りなどにも用いられます。