コストについて
住宅に関する、イニシャルコスト・ランニングコストまでの環境に与える影響。
これらの経済性能を評価した「LCA:ライフサイクルアセスメント」をご存知でしょうか。
評価する内容は、エネルギー消費、天然資源の採取による影響をはじめ、
水質汚染、廃棄物処理、大気汚染、資源の枯渇、水の消費や輸送などです。
ここではイニシャルコスト・ランニングコストについてそれぞれご紹介いたします。
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イニシャルコスト
イニシャルコストとは、新しく建築物を建築するときに、稼働するまでの間に必要となる費用を言い、初期費用のことです。
現在、日本は、法隆寺を代表とする、伝統的木造建築文化技術を持っているにも関わらず、古く良い住宅が多くは残っていないのが現状です。
世界的に見ても、先進国中で最も長持ちしない家を持っている国となっています。
耐久性の高い住宅を建設することによって、スクラップアンドビルドの概念の家造りから考え方を変えて、長寿命な家造りに転換することでトータルなコストを軽減させる考え方で家造りを進めるべきである。日本と欧米の住宅ストック表
国名 住宅総数 ストック数 割合 備考 日本 4683.8万戸 218.1万戸 4.7% 1950年以前 アメリカ 12077.7万戸 2966.5万戸 24.6% 1949年以前 イギリス 2161.3万戸 821.3万戸 38% 1945年以前 フランス 2949.5万戸 979.3万戸 33.2% 1945年以前 ドイツ 3869.0万戸 1086.8万戸 28% 1948年以前 -
ランニングコスト
ランニングコストとは、住宅での暮らしを維持管理したり、冷暖房に使われる高熱費などのコストのことです。住宅で暮らす人が、いかに快適に過ごせるかという点が、ランニングコストに大きく関係してきます。気密断熱性能の高い住宅では、熱損失が少なくなり冷暖房負荷が減少します。また、性能の高い冷暖房システムや給湯システムの導入、エネルギー効率の良い照明器具や家電製品を使うことによって、日常消費するエネルギーを抑制できます。
現在、省エネを目的とした高断熱化が進み、石油製品の高断熱材が用いられる住宅に多くなりつつあるなかで、生産時のエネルギー、廃棄物となる時の問題、火災時の有害ガスが人体や環境に影響を与えてしまう問題も心配されています。
一方、伝統建築に使われる土壁に関して改めて見直す流れもあります。
古い建築技術は性能が劣るのではないかという見られ方をされますが、湿度の高い日本の気候の中で「快適に過ごす」という点で、十分な効果があるということが言えます。木材や土壁は吸放湿性に優れ、調湿機能も大きい特徴があります。自然素材の持つ調温・調湿性能を活かしつつ、断熱化の配慮をすることで、より快適で環境にも優しい住宅を作ることができる方法としても考えられています。
耐用年数60年の経済的なメリット
環境に優しく、快適な住宅に住みたいという考えをお持ちの方でも、ライフプランと予算に合った費用の中で住宅を建てなければなりません。
そこで、耐用年数30年住宅とその二倍の耐用年数60年住宅のライフサイクルコストを計算比率上で比較するとどのような違いがあるのかという視点から、住宅を考えてみるのはいかがでしょうか?30年後に建て替える住宅か、子や孫の代まで住むことのできる60年住宅にするか、ライフプランを考えてみることも重要かもしれません。
※耐用年数の長い住宅を、2~3割高くても長期間メンテナンスをしながら使用することで、トータルコストを抑えることができます。
住宅の耐用年数における60年間のライフサイクルコストの比較表
住宅の耐用年数 | 工事費 (1回目) |
メンテナンス 60年間 |
設備交換 60年間 |
模様替え 60年間 |
暖房費 60年間 |
解体費 | 工事費 (2回目) |
合計コスト |
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30年耐用住宅 | 2,000万円 | 660万円 | 370万円 | 580万円 | 700万円 | 200万円 | 2000万円 | 6510万円 |
60年耐用住宅 | 2,500万円 | 800万円 | 450万円 | 700万円 | 235万円 | 0円 | 0円 | 4685万円 |